『思い違いの法則』 (じぶんの脳にだまされない20の法則) [本・書籍]
『思い違いの法則』(じぶんの脳にだまされない20の法則)レイ・ハーバート著、渡会圭子訳
(書評)より
私たちの思考法には多くの心のバイアスが存在する。その典型が、例えば交通事故を
目撃したとき、赤信号を無視して突進してきた車の色を黒だと思い込むと、他の色とは
考えられず黒だと頑固に証言してしまう。認知のバイアスで、日ごろから無意識のうちに
黒の車に対する恨みがあると(水を引っ掛けられたり、轢(ひ)かれそうになったりした
らいっそう)、つい悪いことをする車の色は黒だと思い込んでしまうのだ。
目撃証言が当てにならない所以(ゆえん)である。
著者は、そのような心のバイアスを「ヒューリスティックの罠(わな)」と呼ぶ。
直感的で素早い判断や選択をするときの認知の経験則のことで、意識しないまま下している
意思決定には役立つのだが、大きな落とし穴もある。ひとつの考えに捉(とら)われ、
それ以外の選択が考えられなくなるからだ。
本書は、ヒューリスティックの罠を20の法則にまとめたもので、直感的思考が役に立っている
側面とともに、思い違いによって思わぬ困難に遭遇する側面を集めており、なるほどと思うことが
多く発見できた。
雪崩に遭って死亡する人にベテランが意外に多い。危険をよく知っているはずなのに、
なぜそんなことになるのだろうか。ベテランは、これまで何度も同じような状況を経験して
きたが故(ゆえ)に、天候が悪かろうといつものルートを選んでしまう。
その方が安心であるからだ。しかし、雪質や雪の降り方は気象状態によって大いに
異なっている。そのことは知ってはいても、よく知ったルートなら安全であると思い込んで
しまうのだ。これは「なじみのヒューリスティック」の一例だが、なじみになれば危険性の
兆候があっても無視しがちになる。毎朝通う通勤路で、慣れているものだから工事中の
看板をつい見落とし、遠回りしてしまったというのと同じである。
私たちは、無意識のうちに下す判断をいちいち吟味していると時間がいくらあっても
足りないからバイパスしてしまう。しかし、「ちょっと待てよ」とヒューリスティック感覚を見直す
余裕を持ちたいものである。
(書評)より
私たちの思考法には多くの心のバイアスが存在する。その典型が、例えば交通事故を
目撃したとき、赤信号を無視して突進してきた車の色を黒だと思い込むと、他の色とは
考えられず黒だと頑固に証言してしまう。認知のバイアスで、日ごろから無意識のうちに
黒の車に対する恨みがあると(水を引っ掛けられたり、轢(ひ)かれそうになったりした
らいっそう)、つい悪いことをする車の色は黒だと思い込んでしまうのだ。
目撃証言が当てにならない所以(ゆえん)である。
著者は、そのような心のバイアスを「ヒューリスティックの罠(わな)」と呼ぶ。
直感的で素早い判断や選択をするときの認知の経験則のことで、意識しないまま下している
意思決定には役立つのだが、大きな落とし穴もある。ひとつの考えに捉(とら)われ、
それ以外の選択が考えられなくなるからだ。
本書は、ヒューリスティックの罠を20の法則にまとめたもので、直感的思考が役に立っている
側面とともに、思い違いによって思わぬ困難に遭遇する側面を集めており、なるほどと思うことが
多く発見できた。
雪崩に遭って死亡する人にベテランが意外に多い。危険をよく知っているはずなのに、
なぜそんなことになるのだろうか。ベテランは、これまで何度も同じような状況を経験して
きたが故(ゆえ)に、天候が悪かろうといつものルートを選んでしまう。
その方が安心であるからだ。しかし、雪質や雪の降り方は気象状態によって大いに
異なっている。そのことは知ってはいても、よく知ったルートなら安全であると思い込んで
しまうのだ。これは「なじみのヒューリスティック」の一例だが、なじみになれば危険性の
兆候があっても無視しがちになる。毎朝通う通勤路で、慣れているものだから工事中の
看板をつい見落とし、遠回りしてしまったというのと同じである。
私たちは、無意識のうちに下す判断をいちいち吟味していると時間がいくらあっても
足りないからバイパスしてしまう。しかし、「ちょっと待てよ」とヒューリスティック感覚を見直す
余裕を持ちたいものである。
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